俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
里穂と同い年の二十九歳で、明るい笑顔を絶やさない、それでいてかなり強引な営業マンだ。

「あれから先方と話したんですけど、こちらにかなりいい条件で進められそうなんです」

小山は桐生の隣に腰を下ろすや否や、前のめりに話し始めた。

「は、はい」

小山の声の大きさに圧倒され、里穂は口ごもる。

話というのは店の売却の件だ。

営業の合間、たまたま昼食を取りに店を訪れて以来、小山は仕事柄老朽化が進む店が気になるのか、たびたびやって来ては改築や移転などの提案をするようになった。

最近では全国展開しているカフェがこの辺りでの出店を計画しているのでそこに土地と建物をまとめて売却してはどうかと熱心に勧めるようになった。

すでに移転先として目星をつけている物件もいくつかあるようで、小山の中ではささはらの売却はほぼ決定事項.

里穂も雫もその熱意に戸惑っている。

「先方の計画もあるので今日は取り急ぎ詳細の説明と具体的な金額のお話をしたいんですけど、このあとお店を閉めてからお時間いただけませんか?」

「え、あの、このあとですか? でも、あの」

小山の押しの強さに圧され、里穂は言葉を詰まらせる。

この話は持ち込まれてすぐに断っているのだ。

けれど小山はあきらめず、里穂を説得しようと何度も店にやってきては粘り続けている。

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