俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
あまりの熱意に不安を感じることも多く、強気に出られないのがもどかしい。

「こちらに有利な条件で契約を結べそうなんです。ただ、そのためには日程の前倒しが必要で――」
「失礼だが」

里穂の都合などお構いなしに話を進める小山を、桐生の低い声が遮った。

「なんですか?」

小山は怪訝そうな表情を桐生に向ける。

「今、店が営業中で彼女が困っているのがわからないんですか?」

身体ごと小山に向き合い、桐生は鋭い視線で問いかけた。

言葉は丁寧だが怒りがのぞく声音に、小山は眉を寄せ黙り込んだ。

「それに食事もせず彼女を困らせているとなると、営業妨害になるんじゃないですか?」

冷ややかな言葉が続き、小山の表情が次第に強張っていく。

「あ、あの」

本来なら自分が小山に言うべき言葉を、桐生が代わって言ってくれている。

里穂はそれが申し訳なくて思わず声をかけたが、桐生はかまわず話を続ける.

「仕事に熱心なのはいいとしても、この店を大切に思っているお客さんがこれだけいる中でする話じゃないだろう」

桐生は声をひそめてそう言うと、そっと振り返り客たちの様子を気にかけた。

幸いにも誰もこのやり取りに気づいていないようで、里穂はホッとする。

「それは。まあ、そうかもしれないですね。お料理なら今から注文しようと思っていたところで。すみませんね」

小山は渋々といった風に謝罪する。

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