俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
「ああ、ついでに言っておくが、法律事務所を開いている知り合いが何人かいるんだ。俺が相手じゃ物足りないならそっちに出て来てもらうから、いつでも相談してくれ」

「は……?」

小山は顔を真っ赤にし、桐生をにらみつけている。

「ちなみにこの鰆の甘酢あん定食は、絶品で最高にうまいぞ」
 
桐生はこれ以上小山に用はないとばかりに箸を手に取り、平然と食事を再開した。

すっかり冷めてしまった料理を前にして、それでもうれしそうに料理を口に運んでいる。

「小山さん?」

里穂は顔を真っ赤にしたまま黙り込む小山に声をかける。

「……とっとと契約書にサインさせればよかったよ」

「え?」

「こんな面倒な相手が出てくる前に無理矢理にでもここから追い出すべきだったな」

「あの……?」 

物騒なことを言っているようだが、聞き間違いだろうか。 

「もういい。見込みのない案件にいつまでも手こずるつもりはない。この店からは手を引くから安心しろ」

チラリと里穂に向けた小山の表情はひどく冷たくて、初めて見る顔のようだ。

これが小山の本来の姿なのだろうか。

「これももう必要ないな」
 
荷物を手に立ち上がった小山は、受け取ったばかりの桐生の名刺をカウンターの上に投げ捨てた。

「なにを……」
 
一瞬の出来事に里穂は両手を口に当て息をのんだ。

「女ばかりだからと思って舐めてたよ」

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