俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
それを教えてくれた杏には、佳也子はもちろん里穂も感謝している。

「最近、リハビリ頑張ってたもんね」

「そうよ。杏さんに会うのが楽しみなの。お話するだけで元気になるから絶対に欠席したくないもの。だからリハビリも必死よ」

「あら、うれしいことを聞いちゃった」

弾む声と同時に手をパチンと叩く音が聞こえ、里穂と佳也子は顔を向けた。

オレンジ色のニットのワンピースがよく似合うショートカットの女性が、にこやかな笑みを浮かべ立っている。

彼女が杏華堂の副社長でありメディカルメイクを推進している桐生杏だ。

今年還暦を迎えたとは思えない若々しい表情と背筋が伸びた立ち姿。

里穂の憧れの女性でもある。

二重まぶたの切れ長の目で見つめられた途端、蒼真を思い出した。

親子だけあって、やはりよく似ている。とくに顎のラインはそっくりだ。 

「杏さん」

佳也子がうれしそうな声をあげゆっくりと立ち上がった。

「今日は足の調子がよさそうね。それにこのパンツ、とても素敵」 

佳也子がはいている黄色のワイドパンツを眺めながら、杏が大きくうなずいている。

「杏さんに黄色が似合うって教えてもらったから、思い切って買っちゃいました。友達も似合うって言って勧めてくれたんです」

わずかに胸を張り、佳也子は得意げに自身の装いを杏に披露する。

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