俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
花音と呼ばれた女の子は母親の手をふりほどき、うつむいた。

「花音ちゃんっていうの? かわいいお名前ね」

里穂が声をかけると、女の子は途端に笑顔を見せ軽くぴょんぴょんと跳び跳ねる。

「ママが好きだから、花音なの。バイオリン、かっこいいの」

「バイオリン? もしかしてパッヘルベルのカノンですか?」

母親がうなずいた。

「以前バイオリンを弾いていて、とくにパッヘルベルのカノン……本当はこれ、曲名じゃないんですけど、好きでよく弾いていたんです。この子がお腹にいる時にもよく弾いていて」

「それで、花音ちゃんという名前なんですね。素敵ですね」

里穂は目を細め答えると、花音に向き合った。

「実はお姉ちゃんもカノンが大好きなの。お姉ちゃんがあのピアノで弾いたら、花音ちゃん聞いてくれる?」

「うん、いいよっ」

「よかった。じゃあ、行こうか」
 
里穂は花音の頭を優しく撫で、立ち上がった。

「え、でも、あの、ご迷惑じゃ……」

オロオロする母親に里穂は優しく微笑んだ。

「私はそのために来ているので、大丈夫ですよ。ふたりで仲良くしてますからお母さんは杏さんからパワーをたくさんもらって下さい」

「でも……」

「そうしましょう。里穂は幼稚園の先生の免許を持ってますから、大丈夫。私たちは杏さんから元気をチャージさせてもらいましょう」

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