俺の妻に手を出すな~離婚前提なのに、御曹司の独占愛が爆発して~
杏や佳也子、そして講習会の参加者たちからの視線を背中で感じながら、里穂は心を込めて温かな音色を奏で続けた。
右から花音、そして左からは蒼真が里穂の指の動きを目で追っているのを意識しながら。
「妹が就職先に杏華堂を選んだのはお給料がいいからなんて言っていますけど、本当は母のことがあったからだと思います。メイクで顔の傷がカバーできるとわかった途端、リハビリに通えるようになって、ひとりで出歩けるようにもなった。そのことに、私も妹も感動したんです」
里穂はひと息にそう言うと、隣を歩く蒼真を見上げた。
ここは講習会が行われていたカフェから車で二十分ほどの場所にある川沿いの遊歩道だ。
何百本もの木が枝葉を広げ、満開の桜を揺らしている。
大勢の人がその可憐で華やかな姿に見とれながら、ゆっくりと歩を進めている。
里穂も蒼真と並び、夕暮れのオレンジを浴びた桜の微妙な色合いに目を細め、歩いていた。
「杏華堂のメディカルメイクに出会ってなかったら、母は今も家に閉じこもったままで、カラオケなんてあり得ないし、友達と洋服を買いに行くことも……事故に遭った時の母からは想像もできなかった。全部メディカルメイクのおかげです。本当にありがとうございます」
そう口にしながら、里穂は胸が熱くなるのを感じた。
右から花音、そして左からは蒼真が里穂の指の動きを目で追っているのを意識しながら。
「妹が就職先に杏華堂を選んだのはお給料がいいからなんて言っていますけど、本当は母のことがあったからだと思います。メイクで顔の傷がカバーできるとわかった途端、リハビリに通えるようになって、ひとりで出歩けるようにもなった。そのことに、私も妹も感動したんです」
里穂はひと息にそう言うと、隣を歩く蒼真を見上げた。
ここは講習会が行われていたカフェから車で二十分ほどの場所にある川沿いの遊歩道だ。
何百本もの木が枝葉を広げ、満開の桜を揺らしている。
大勢の人がその可憐で華やかな姿に見とれながら、ゆっくりと歩を進めている。
里穂も蒼真と並び、夕暮れのオレンジを浴びた桜の微妙な色合いに目を細め、歩いていた。
「杏華堂のメディカルメイクに出会ってなかったら、母は今も家に閉じこもったままで、カラオケなんてあり得ないし、友達と洋服を買いに行くことも……事故に遭った時の母からは想像もできなかった。全部メディカルメイクのおかげです。本当にありがとうございます」
そう口にしながら、里穂は胸が熱くなるのを感じた。