エリートなあなた
すると、頭をポンポンと撫で叩かれる。澄んだダークグレイの眼差しに溶かされそうだ。
「笑ってくれたの、初めて」
「…えっ、そうでした?」
「うん」と重ねて、また弧を描いて笑った課長。それがまた優しくて、向けられる言葉を勘違いしたくなる。
――無意味で愚かな…、捨てきれない想いが湧き立って。
「…よ、しかわ、さん?」
「っ、」
名前を呼ぶ声に動揺が窺える。けれど、気づいた時には冷たいもの頬を伝っていた。
離れた手の重みも、男らしい爽やかな香りも、穏やかな笑顔も。
どれもすべてインプットされて、また課長を好きになる材料になっただけ。