エリートなあなた


マズいと思って量産される涙を手で拭ってみても、時すでに遅し。



あれほど騒いでいた向かいの席の絵美さんと松岡さんも無言になった。



それでも泣きかけの顔に、どうにか笑顔を浮かべて頭をペコリと下げる。


「す、みません…、ちょ、っと体調が良くなくって、」


「真帆ちゃ、」


「――ごめんなさい、…失礼します」


「でもっ、」


絵美さんが何か言いたげに声を発したものの、数回首を振ることしか出来なくて。



傍らに置いてあったバッグを握り締めると、黒いパンプスに素早く足を通した。



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