エリートなあなた
剛史の声を聞いているだけで、まるで楽しかった大学時代にタイムスリップしたように思える。
「――仕事どう?」
「さっき一緒にしてたのに聞くの?」
「同業者としては、やっぱ詮索もいれとくべきかと」
「うーん、平たく言えば、試作部でオーダー入った件を片づけてる。…剛史はどう」
「俺は試作っていっても材料や部品の調達かなぁ。
あーあ、研究開発グループへの道のりはまだまだ遠い…!」
泣き真似をする彼に再会直後の目の鋭さは消えており、それもまた安堵の理由だった。
やっぱり私たちは大人になっていて、環境の違う中で毎日を戦っている。
あの頃と変わっていない様に見えても、それぞれ別々の道を歩んでいる。
成長した姿を知るのは嬉しいけれど、でも少し寂しくもあるのは思い出ゆえ。
なんともいえない矛盾した感情が、ぐるぐると心の中を埋めていた。