エリートなあなた


3杯目はグラスワインを頼んだ私。そしてピッチの速い彼は、これでビール4杯目だ。



例のカルボラナーラがテーブルへと濃厚な香りを連れて到着したところへ、テーブルに置いていた携帯が着信音を告げる。



もしも会社から電話が入ることを考え、カフェにいた時バイブレーションから切り替えていたのだ。



「ご、ごめん!ちょっと電話して来るね」


「りょーかい」


その携帯を持って急いで店外へ向かうと、そのディスプレイが表示する名前に驚きを隠せない。


ボタンを押して通話へ切り替えると、「もしもし?」の声がすぐに聞こえた。



「は、はい。吉川です!課長、なにか…」


飲み会をスタートさせてまだ2時間。今はまだ20時と、試作部では仕事をしていて当たり前の時間帯。



当然、電話主の彼を“課長”と呼ぶのが正しい。うろたえながらも第一声はマナーを順守していた。



< 227 / 367 >

この作品をシェア

pagetop