エリートなあなた
「真帆ー、着替え置いとく」
「あっ、すみません…!」
すりガラス越しに彼の呼ぶ声が届く。振り返れば、ぼんやりシルエットが映っていた。
言葉を返すと「ゆっくりして来いよー」と言って、すぐにその影は消え去ってしまう。
シャワーを止めた私はタオルで水滴を取りながら、静かなバスルームへと戻った。
ジャケット類の上に置かれていたのは、休日用に見えるワンポイント入りのラフな長袖シャツと黒いパーカー。
とりあえず風邪をひく前に、とブラジャーと持参の下着の上からそれらを着たところ。
この前と同じく、膝上が15センチほどの丈。腕はもちろんブカブカで見えない状態だ。
髪を乾かして私物をすべて持ってバスルームからリビングへ向かったところ、まだスーツ姿の彼がソファで新聞を読んでいた。
「お先にすみません、ありがとうございました」
「いや、…あたたまった?」
「はい!」
新聞を折り畳みながら尋ねて来る彼に、にっこり笑って返す。