エリートなあなた


外見も心も若い母とはよくお出かけしていたし、母娘関係は昔から良好である。



「あー、ごめん…!

今日はこれからすぐ出かけるの、…あと準備して貰いたいんだけど」



「えー…」と残念がる母に断りを入れたのち、ある物の用意をお願いすることに。


「もー、たまには私に付き合ってくれても良いのに…」


ブツブツと聞こえてくる母の不満には苦笑して、2階へつづく階段を駆け上がった。



そして右手奥にあるドアを開けると、勢いのままに閉めてしまう。10畳ほどの広さにピンクと白の家具で統一された部屋こそが自室だ。



慌ててスーツを脱いだ私は、キャミソール姿で備えつけのクローゼット内を漁り始めた。



しかし、「う~ん、」と唸りながら思案するのは、明日ではなく今から着る洋服だった。



思えばスーツでしか会ったことのない私たち。マンションでもまた、彼の洋服を借りて羽織っていたにすぎない。



お泊まりに気合いが入り過ぎているのはちょっとヘン。かといって、あまり気が抜けたスタイルも…。



散々悩んだ挙句――ツイード素材の膝丈ワンピに白のリブタートルを合わせたレイヤードコーデに落ち着いた。



どうせなら可愛いと言って貰いたいけれど――修平さんの好みが分からない。



全身鏡に映るその姿にコドモっぽく見えないよね?と、次々と疑問符が生まれたものの諦める。



それから着替えやメイク道具など、必要最低限のものを小さなボストンバックへ詰めた。



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