無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
翌朝。久しぶりに自分のベッドで寝ていた由惟は、部屋の外から聞こえてくる物音で目を覚ました。
昨日は夜通し泣いていたせいで、瞼が腫れぼったく、頭も重い。
それでも真紘の見送りをしようと起き上がった。
昨日は、墓地を出てから真紘とろくに話ができなかった。卑しくも彼を騙していた由惟と同じ空間にいることすら嫌だったのだろう。真紘はどこかへ出かけたまま、夜遅くまで帰ってこなかった。
でも今日から二週間、真紘はフィンランドへ旅立ってしまう。挨拶くらいはすべきだし、今後のことも話し合わなければ。
もちろんこの家から出ていくという選択肢以外、存在しないことはわかっているが。
部屋を出ると、ちょうど玄関で靴を履いていた真紘と目が合った。顔も見たくないと罵られることも覚悟したが、真紘は静かに由惟の方へ向き直った。由惟を見据えるその瞳からは温度が感じられない。
「これからのことは少し考えさせてくれ。今は、おまえと冷静に話し合える気がしない」
「……はい」
「俺が帰ってから、みどりさんたちも交えて話し合おう。それまではここにいてもらって構わない」
「いいんですか……?」
「急に出て行けって言われても困るだろ」
やっぱり、由惟が出て行くことに変わりはない。
わかっていたはずなのに、どうしようもなく胸が苦しくなった。昨晩散々泣いて、枯れたはずの涙がまた湧き出てきそうで、由惟は俯いた。
「行ってくる……由惟」
初めて呼ばれた本当の名前。ずっと呼んでほしいと思っていたのに、悲しさだけが募る。
由惟は堪らず涙をこぼした。玄関ドアは無情な音を立てて閉まり、由惟は一人部屋に残された。
昨日は夜通し泣いていたせいで、瞼が腫れぼったく、頭も重い。
それでも真紘の見送りをしようと起き上がった。
昨日は、墓地を出てから真紘とろくに話ができなかった。卑しくも彼を騙していた由惟と同じ空間にいることすら嫌だったのだろう。真紘はどこかへ出かけたまま、夜遅くまで帰ってこなかった。
でも今日から二週間、真紘はフィンランドへ旅立ってしまう。挨拶くらいはすべきだし、今後のことも話し合わなければ。
もちろんこの家から出ていくという選択肢以外、存在しないことはわかっているが。
部屋を出ると、ちょうど玄関で靴を履いていた真紘と目が合った。顔も見たくないと罵られることも覚悟したが、真紘は静かに由惟の方へ向き直った。由惟を見据えるその瞳からは温度が感じられない。
「これからのことは少し考えさせてくれ。今は、おまえと冷静に話し合える気がしない」
「……はい」
「俺が帰ってから、みどりさんたちも交えて話し合おう。それまではここにいてもらって構わない」
「いいんですか……?」
「急に出て行けって言われても困るだろ」
やっぱり、由惟が出て行くことに変わりはない。
わかっていたはずなのに、どうしようもなく胸が苦しくなった。昨晩散々泣いて、枯れたはずの涙がまた湧き出てきそうで、由惟は俯いた。
「行ってくる……由惟」
初めて呼ばれた本当の名前。ずっと呼んでほしいと思っていたのに、悲しさだけが募る。
由惟は堪らず涙をこぼした。玄関ドアは無情な音を立てて閉まり、由惟は一人部屋に残された。