無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
「これは決定事項だ。生田目病院の次期副院長として、俺が決めた」
「な、な、な、ふ、ふざけるな!今すぐ取り消せ!!」

 顔を真っ赤にした横井が飛びかかってきて、由惟は声にならない悲鳴を上げた。横井の瞳孔は開いていて、まるで獣のよう。
 本当に恐怖を感じると、全てがスローモーションに見えるのは本当だった。ゆっくりと、だが確実に横井がこちらへ腕を振り下ろしてくる。

 由惟はギュッと目をつぶった。
 だが次の瞬間、大きな物音がして、「ぐあっ」と潰れた声が耳に届いた。
 
 恐る恐る目を開けると、横井が床に転がっていた。真紘が右足を少し前に出している。足を引っ掛けて転ばせたのかもしれない。
 間抜けな横井の姿に、これまでずっと身を縛っていた緊張が解けた。

「あなた!」

 静子が駆け寄るも、横井は頭を打ったのか気絶をしてしまったようでびくともしない。

「おまえ、よくも……」

 すっくと立ち上がった静子が鬼の形相でこちらを睨んだ。今まで気が付かなかったが、静子はゴルフクラブを手に持っていた。真紘を追いかける際に玄関から持ってきていたのかもしれない。
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