無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
程なくして、車は真紘のマンションに到着した。降車するよう、みどりからは促されたが、その前に言うことがある。由惟は浮かない顔で頭を下げた。
「みどりさん、あの、すみません……」
「なにが?」
「……真紘さんに、私の正体がバレちゃって」
「いいのよ。元々騙し通せるなんて思ってなかったし」
「えっ?そうなんですか?」
なんでもない風に笑い飛ばされ、由惟は目を丸くする。
「そりゃあそうよぉ。いくら顔が似てるとはいえ、半年も一緒に暮らしていたら、いくらワーカーホリックの成澤くんでも別人かどうかくらいわかるわよ。だから最初に言ったでしょ?穂乃花のことなんて気にしないで、成澤くんと仲良くなってねって」
「で、でも……」
「むしろ由惟さんがうちの養子になって、成澤くんと結婚してくれないかしらって思っていたくらいよ」
「よ、養子……」
――由惟さんがうちの子になってくれたら万事解決よ。
あの言葉の意味がようやくわかったものの、やっぱり釈然としない。養子縁組は、子供のいない夫婦が子供を迎えたりするための制度じゃないんだろうか。
「養子って、成人しててもなれるものなんですか?」
「大人同士も養子縁組できるのよ?もしかして知らなかった?」
「はい……」
自分の無知が恥ずかしくて、由惟は縮こまるように頷く。すると呆れたようなため息が隣から聞こえてきた。