無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
「まったく。それならそうと最初から相談してくれれば、ややこしいことにならずに済んだんですよ」
「だって由惟さんは、成澤くんと結婚するなんてありえないって言うんだもの。由惟さんにその気がないのに、成澤くんに根回しはできないわよ」
「は?」

 真紘の眉間に深い皺が刻まれる。由惟は慌てて手を胸の前でブンブン振った。

「そ、それは、生田目病院と何も関係がない私が、真紘さんと結婚しても意味ないと思っていたからで……」
「……俺が嫌ってわけじゃないよな?」
「も、もちろんです!」
 
 焦りつつ由惟が頷くと、真紘は再びため息をついた。
 
「由惟の養子縁組は必要ありません。俺は、病院のために由惟にそばにいてほしいわけではないですから。それに、たとえ生田目家と縁がなくても、俺は生田目病院を離れるつもりはありません」

 早口で言い切った真紘に行こうと手を引っ張られ、挨拶もままならないまま由惟は車を降りた。
 胸がソワソワしている。聞きたいことも言いたいこともたくさんある。でも、真紘はまるで問答を許さないようにこちらを見ようとしないから、由惟は何も言えなかった。
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