無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
(キス……?)
由惟の唇に触れているのは、真紘のそれだった。
刹那、頭の中が真っ白になる。どうしてこんな展開になっているのか、まるで分からない。
狼狽えている間にも貪るように何度も口付けられる。不慣れな由惟は、息もうまく吸えない。
けれども真紘の手が由惟のTシャツの中に潜り込んだ瞬間、全身に怖気が走った。
『由惟……』
おぞましい記憶が五感を伴って蘇った。
生々しい吐息、ねっとりと肌を伝う粘ついた声。ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべた横井の顔が、くっきりと鮮明に脳裏に浮かび上がる。
現実と混ざり合う残像を消したくて由惟はギュッと目を固く閉じた。
大きな手が由惟の薄い腹を撫でている。
背筋がゾワゾワして、思考が濁って過去に侵食されていく。
「いや、やめて……」
由惟の肌を撫でるこの男の手は誰のものだっただろう。首筋に顔を埋めている男の吐息が過去のものと重なり、判別がつかない。
『由惟、かわいいね、由惟……』
気持ち悪い。
嫌だ。
やめて、触らないで。
「いや、やめて……いやっ、いやー!!」
己に覆い被さる体に腕を突き立てた。体からエネルギーを放出するように、全身全霊で叫んだ。
感電したように、由惟の体をまさぐっていた手が素早く離れる。目の前には驚きで目を丸くした真紘の顔があった。
「あっ……ご、ごめんなさい……」
混乱していたとはいえ、いきなり突き飛ばして叫ぶなんて失礼すぎる。
おずおずと謝ると、ため息をつかれた。多分、いや、間違いなく怒っている。
最悪の滑り出しだ。印象改善どころの話じゃない。とにかく釈明しなければ。
パニックになっている頭で言い訳の言葉を必死で考えていると、真紘が傾けていた体を起こした。
「……悪かった」
ふと落ちてきた言葉の意味を、由惟はすぐに理解できなかった。呆気に取られている間にも、真紘は自室へと戻っていき――由惟はただ一人その場に残された。
由惟の唇に触れているのは、真紘のそれだった。
刹那、頭の中が真っ白になる。どうしてこんな展開になっているのか、まるで分からない。
狼狽えている間にも貪るように何度も口付けられる。不慣れな由惟は、息もうまく吸えない。
けれども真紘の手が由惟のTシャツの中に潜り込んだ瞬間、全身に怖気が走った。
『由惟……』
おぞましい記憶が五感を伴って蘇った。
生々しい吐息、ねっとりと肌を伝う粘ついた声。ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべた横井の顔が、くっきりと鮮明に脳裏に浮かび上がる。
現実と混ざり合う残像を消したくて由惟はギュッと目を固く閉じた。
大きな手が由惟の薄い腹を撫でている。
背筋がゾワゾワして、思考が濁って過去に侵食されていく。
「いや、やめて……」
由惟の肌を撫でるこの男の手は誰のものだっただろう。首筋に顔を埋めている男の吐息が過去のものと重なり、判別がつかない。
『由惟、かわいいね、由惟……』
気持ち悪い。
嫌だ。
やめて、触らないで。
「いや、やめて……いやっ、いやー!!」
己に覆い被さる体に腕を突き立てた。体からエネルギーを放出するように、全身全霊で叫んだ。
感電したように、由惟の体をまさぐっていた手が素早く離れる。目の前には驚きで目を丸くした真紘の顔があった。
「あっ……ご、ごめんなさい……」
混乱していたとはいえ、いきなり突き飛ばして叫ぶなんて失礼すぎる。
おずおずと謝ると、ため息をつかれた。多分、いや、間違いなく怒っている。
最悪の滑り出しだ。印象改善どころの話じゃない。とにかく釈明しなければ。
パニックになっている頭で言い訳の言葉を必死で考えていると、真紘が傾けていた体を起こした。
「……悪かった」
ふと落ちてきた言葉の意味を、由惟はすぐに理解できなかった。呆気に取られている間にも、真紘は自室へと戻っていき――由惟はただ一人その場に残された。