無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
翌朝、キッチンで真紘とばったり顔を合わせると、「あ……」と気まずい声が重なった。
謝ろうと思ってはいたものの、いざ本人を目の前にすると、何から話せばいいか分からなくなる。
視線を泳がせ、会話の糸口を探っていると、「おまえも飲むか?」と訊かれた。真紘の手元には、ドリップバッグをセットしたマグカップが置かれている。
「は、はい」
反射的に頷くと、ドリップコーヒーの袋が手渡された。そこでハッとする。これは家主がすることじゃない。由惟は真紘のマグカップに手を伸ばした。
「コーヒー、私が淹れますね」
しかし手に取ろうとした寸前にマグカップが浮かび上がり、由惟の手は敢えなく空を切った。
「は?それくらい自分でできる」
怪訝な顔で言った真紘は、再びマグカップを置くと電気ケトルからお湯を入れ始めた。
たちまち香ばしいコーヒーの香りがキッチンに広がる。その香りに横井家にいた十年間で骨の髄まで染み込んだ奴隷根性が刺激され、途端に落ち着かなくなる。
何もしないでいることが恐ろしい。
ソワソワしながらドリップの中に満ちたお湯が落ちていくのを見守っていた由惟だが、ふと視線を感じて顔を上げた。
謝ろうと思ってはいたものの、いざ本人を目の前にすると、何から話せばいいか分からなくなる。
視線を泳がせ、会話の糸口を探っていると、「おまえも飲むか?」と訊かれた。真紘の手元には、ドリップバッグをセットしたマグカップが置かれている。
「は、はい」
反射的に頷くと、ドリップコーヒーの袋が手渡された。そこでハッとする。これは家主がすることじゃない。由惟は真紘のマグカップに手を伸ばした。
「コーヒー、私が淹れますね」
しかし手に取ろうとした寸前にマグカップが浮かび上がり、由惟の手は敢えなく空を切った。
「は?それくらい自分でできる」
怪訝な顔で言った真紘は、再びマグカップを置くと電気ケトルからお湯を入れ始めた。
たちまち香ばしいコーヒーの香りがキッチンに広がる。その香りに横井家にいた十年間で骨の髄まで染み込んだ奴隷根性が刺激され、途端に落ち着かなくなる。
何もしないでいることが恐ろしい。
ソワソワしながらドリップの中に満ちたお湯が落ちていくのを見守っていた由惟だが、ふと視線を感じて顔を上げた。