(一)この世界ごと愛したい
昔はこの木にハルとよく登ったなーと。
そんなことを思い出しながら。
開けた場所で、私は修行を開始する。
火龍の力を、完全に自分のものにしてみせる。
もちろん、火事にならないように何も燃やすことがないようコントロールはするんだけど。
「…っ!?」
火龍の力を使えるようになったばかりだし、隠さなきゃいけない力だったから。
今初めてちゃんと解放したんだけど。
「やっば。」
この火龍というものは、厄介だと言うことに気付いた。
力を引き出そうとすればするほど逆に私が取り込まれそうになる。
…やっぱ、都合のいいだけの力じゃなかったか。
体力というか、気力次第かな。
恐らくこの力の加減を間違えて火龍を引き出し過ぎると、逆に私の意識を持っていかれる。
…この押し合いに負ければ死ぬ。
それだけは直感で何となく分かった。
「…諸刃だなー。」
やっぱり、そう思う他ない。