(一)この世界ごと愛したい
そう言えば、レンはちゃんとディオンの城へ行けただろうか。
昨日の今日じゃまだ無理か。
セザールはこれから大いに衰退するだろうし。
「…まずったかな。」
「は?」
「いや、こっちの話。」
そうだった。
衰退するセザールの領地を奪わんとまた戦が起こり得るあの城に、レンを置くのはまずかったかも。
でもでも、アキトの城が近くにあるってチラッと聞いた気がするし。
またアキト頼りになって申し訳ないけど、それを聞いたのもあってあの城にしたんだ。
…ここはアキトに任せよう。
「思い出すんじゃなかった。」
今は自分のことに必死なのに。
レンが心配になってきた。
「ふふ。リンはレン王子が好きなのね。」
「…へ?」
ママが私に嬉しそうに微笑む。
「会いたいって顔に書いてるわよ?」
「……。」
会いたい…?
私はレンに、会いたい…のか?
「確かに心配は心配だけど…。今は会わなくてもいいかな?」
「どうして?」
「だってレンとはまた会えるし。だから別にわざわざ今会わなくてもいいかなー。」
「素敵な約束をしたのね。」
あ…。
約束は、してなかった。
でも不思議なことにきっと会えると。そんな気がするから大丈夫だろう。