(一)この世界ごと愛したい
ハルはただ私を抱き締めるだけで、本当に何も言わない。
私の馬鹿。
迷いは捨てろ。強くあれ。
…迷えば人を傷付けていくだけだ。
「まだ、しばらくはいるよ。」
「…ああ。」
でもあまり長居すると、また迷いが生まれそうなので出来るだけ急ごう。
この力を、武器にするんだ。
私は再びくるっと身体を反転させて、ハルに向き合うことにした。
「…先に寝ないでね?」
「お前はどこまで可愛いんだよ。」
私はハルの腕の中で眠る。
まるで陽だまりの中みたいな場所なので、私が意識を手放すまで時間はかからなかった。
「おやすみ、リン。」
そんな声も。
私にとっては眠り薬に等しい。
「…やっぱ止められねえか。」
ハルが眠る私に、そう言って肩を落とす。
「ルイは、どうすっかな…。」