(一)この世界ごと愛したい




ハルはただ私を抱き締めるだけで、本当に何も言わない。




私の馬鹿。


迷いは捨てろ。強くあれ。




…迷えば人を傷付けていくだけだ。





「まだ、しばらくはいるよ。」


「…ああ。」




でもあまり長居すると、また迷いが生まれそうなので出来るだけ急ごう。



この力を、武器にするんだ。





私は再びくるっと身体を反転させて、ハルに向き合うことにした。




「…先に寝ないでね?」


「お前はどこまで可愛いんだよ。」




私はハルの腕の中で眠る。


まるで陽だまりの中みたいな場所なので、私が意識を手放すまで時間はかからなかった。





「おやすみ、リン。」




そんな声も。


私にとっては眠り薬に等しい。










「…やっぱ止められねえか。」




ハルが眠る私に、そう言って肩を落とす。








「ルイは、どうすっかな…。」





< 1,073 / 1,300 >

この作品をシェア

pagetop