(一)この世界ごと愛したい
「リンをこの城に閉じ込めて、過保護に接する理由を聞いても。あの人はリンのためだって言うだけで何も言わなかった。」
この力を求める国はきっと多いからね。
奪われないよう、露見しないよう、力が目覚めないよう、パパはそうするしかなかったんだ。
「…本当に天に愛された証なら、パパもハルも、リンも。もっと幸せそうに笑ってるはずなのに。」
「ママ…。」
「…きっと、そうじゃないんでしょう?」
ママは強い人だ。
本当は泣いてしまいたいだろうに。
「あなたはまた、この国のために一人で戦うつもりなの…?」
きちんと、説明しなきゃいけないな。
「私が知ってるのは、千年に一人の確率で火龍の力を持って生まれてくる人がいること。そして、その力を求めてより過酷な戦が起こること。」
「どうして…リンが…。」
こんな目に遭うんだろうと。
ママは打ちひしがれているけれど、私はそうは思わない。
「私は私でよかったと思ってるよ。」
「リン…。」
「替えがきかないハルやアルじゃなくて、私でよかったの。」
「あなたの替わりだっていないのよ?」
それは、そうだろうけど。
ハルやアルがいればアレンデールはきっと大丈夫だし。私一人いなくなったところで、国は回る。
「でも私はママに謝らなきゃいけないね。」
パパの命を奪ったのはたぶん私。
というか、私の中のこの火龍だろうから。