(一)この世界ごと愛したい
だから本当は、隠し続けなきゃいけなかった。
決して世界に露見してはいけない力だった。
ハルを使ってまで、こんな危険な力を披露したのは、その人の心に侵食するこの力が恐ろしかったから。
力が目覚めずとも、戦神としてさえ人を惹きつける自分自身が恐ろしかったから。
…恐ろしく、怖いと思ったから。
「だから、ママ。お願いがあるの。」
この話をしたのは。
王にはならないと言ったハルに代わって。
決断してほしいから。
「私をアレンデールから追放してほしい。」
そしてそれを、世界中に発信してほしい。
私はもうこの国にはいないと。
アレンデールに攻め入っても無意味だと。
「こんなこと、ママにお願いするのはよくないって分かってるけど…。」
「…どこまでも、優しい子ね。」
ママがそう言って私を抱きしめる。
いつも涙脆いママは、今日は泣いていない。
「大丈夫。もう泣いて、あなたを苦しめることはしないから。」
「ママ…?」
「ハルに怒られちゃったから。リン一人に、全部背負わせちゃだめだって。ここで私が泣いて、リンを止めたら…また、苦しい思いをさせそうな気がするの。」
だから泣かないのだと。
そう言ったママの背中は震えていて。
…やっぱ、ママには一生敵わない。