(一)この世界ごと愛したい




だから本当は、隠し続けなきゃいけなかった。


決して世界に露見してはいけない力だった。




ハルを使ってまで、こんな危険な力を披露したのは、その人の心に侵食するこの力が恐ろしかったから。


力が目覚めずとも、戦神としてさえ人を惹きつける自分自身が恐ろしかったから。





…恐ろしく、怖いと思ったから。





「だから、ママ。お願いがあるの。」





この話をしたのは。


王にはならないと言ったハルに代わって。




決断してほしいから。















「私をアレンデールから追放してほしい。」





そしてそれを、世界中に発信してほしい。




私はもうこの国にはいないと。


アレンデールに攻め入っても無意味だと。






「こんなこと、ママにお願いするのはよくないって分かってるけど…。」



「…どこまでも、優しい子ね。」




ママがそう言って私を抱きしめる。



いつも涙脆いママは、今日は泣いていない。






「大丈夫。もう泣いて、あなたを苦しめることはしないから。」


「ママ…?」


「ハルに怒られちゃったから。リン一人に、全部背負わせちゃだめだって。ここで私が泣いて、リンを止めたら…また、苦しい思いをさせそうな気がするの。」




だから泣かないのだと。


そう言ったママの背中は震えていて。





…やっぱ、ママには一生敵わない。





< 1,080 / 1,300 >

この作品をシェア

pagetop