(一)この世界ごと愛したい
そんな中、アルが不意に立ち上がる。
「…ママ。」
「アル?どうしたの?」
「僕、王様続けるよ。」
この言葉に、私もママも目を丸くする。
もしかしてハルがアルにもう話したのか。自分が王になる気がないことを。
「僕が王様を続けて、お城を守るから。」
「…アル。」
「そしたらお姉ちゃんが困った時に、いつでもお兄ちゃんが助けに行けるよね?」
…すごい発想だなと。
思わず感心せずにはいられない。
「私の心配はいらないよ。ハルはアルをちゃんと守ってくれるから。」
「…それじゃ、ダメだよ。」
「え?」
「お姉ちゃんが悲しくなった時に、いつでも助けに行ける人がいないと。だから大丈夫。お姉ちゃんはお外に出ても、一人じゃないよ。」
アルの目には、何が見えているんだろう。
でも、確かに私の核心を貫く。
全体を俯瞰できちんと理解出来ているこの考えは、王に相応しい才とも思える。
我が弟ながら、末恐ろしいな。