(一)この世界ごと愛したい
「海外、ねえ。」
「……。」
「力のことは話したぞ。」
「…うん。ママに聞いた。」
どうしても私に読書をさせるつもりがないハルがいるので。
私は渋々本を閉じる。
「るうは?」
「飯の支度。」
「…そっか。」
「寂しそうだなあ?」
二年前にハルが眠って以降、るうはずっと私の側にいてくれたからなー。
数時間と離れることの方が少なかった。
ハルが目覚めた今、これが本来の在り方で。
ハルの側にいるのが当然だ。
「…そんなこと言えないよ。」
私には、そんなこと言う資格なんてない。
私の我が儘でるうをこれ以上振り回してはいけない。このままでいい。るうはハルの側にいるべきだ。
「…何が言えねえって?」
「……。」
食事の支度って、こんなに早く終わるのか。
るうが突如部屋に現れたことで、私は思わずハルを睨む。
「俺は悪くねえだろ。」
「…じゃ、お風呂入って私もう寝るからー。二人ともご飯食べておいでー。」
私はそう言って脱衣所へ避難。
私の頭には、るうが街で言った言葉が蘇る。
『だから、どこにも行くな。』
私はまだ、るうを納得させられる言葉を持ち合わせていない。