(一)この世界ごと愛したい




今じゃないよと。


思わずツッコみたくなるタイミングで降り出した雨は、無慈悲に私に降り注ぐ。





「…最悪だ。」




せめて、城に戻らねば。


その一心で身体を起こすけど、刺した左手からはドクドクと血が溢れる。




飛んで帰りたいけど、今は火龍を抑え切れる自信がない。それにこの雨の冷たさが今は心地いい。





レンの冷たい手を思い出す。






「レン…。」




怪我しちゃったから、怒られるかな。


どうか次に会う時までには、治っていますように。





そう考えながら、どうにかこうにか身体を起こして城に戻ろうとしている私。


城にというか、自分の部屋に。



血塗れの左手と、雨に濡れた体が、私は外に出てましたよって宣言しているようなものだから。




そして恐らく、今日はもう修行は無理。




瞳の色は元に戻っているだろうか。


結局城に戻るだけでも、そこそこの時間がかかったので戻っていると思いたい。




私は久々に人感レーダーを起動しつつ、人に遭遇しないように誰もいない場所を通り。一先ず部屋まで辿り着き、大急ぎでシャワーを浴びるけど。





「止まんないなー…。」




雨といいシャワーといい、水分に触れ過ぎて凝固出来ないでいる血液。



このままにしてたら、バレてしまうので。





「いっ…。」




私は傷口を己の炎で焼灼。


見た目は最悪だけど止血には成功。便利な力だなー。痛かったけどー。




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