(一)この世界ごと愛したい
私はとりあえず座るものの。
ぜーんぜん食べる気になりません。
「リン、ちゃんと食べないとだめよ?」
「…はーい。」
ママに心配かけるわけにもいかないので、ちょこっとずつ料理を口へ運ぶ。
…午後からどうしようか。
普段なら修行をしたいけど、なんせ外は雨だし。この自分のコンディションじゃとても修行にならない。
というか。大昔の火龍の力の持ち主って、瞳の色が変わると精神を掠め取られそうになるあの状態でどうやって力を使っていたんだろう。
余程強靭な気力なのか。
いやいや、私がヘナチョコすぎるだけ?
「…完全に意識はここにねえな。」
「ああ。」
無心で食べている私を見て、ハルとるうが呆れているのにも気付かない。
今後どうするか。
痛みで何とか気力を繋ぎ止めることが出来るなら、左腕一本犠牲にして修行を続けるか。
それとも諦めて瞳の色を変えての修行は断念するか。
「…リン?」
私の様子に最初に違和感を覚えたのはるう。
「っ!」
「おいコラ。」
るうの手が、私の額に触れる。
急に伸びてきた手にも驚いたけど、何よりるうが私の異変に気付いたことにも驚いた。
「…リン熱あるけど。」
「あら大変。先生呼びましょうか。」
…余計なことを。
私は思わずるうに怒りそうになったが、ここは我慢して飲み込んだ。
「ママ大丈夫だよ。ちょっと横になったらすぐ治るし。」
「…じゃあルイ、お部屋まで連れてってあげて?」
ママに私を託されたるうは、大人しく指示に従う。
「……。」
「……。」
熱はあるらしいが、別にぐったりしているわけではないのでとりあえず二人で歩いて部屋に向かう。
けど、変に流れるこの沈黙。