(一)この世界ごと愛したい
「……。」
「…ここでいいよー。」
到着した部屋の前で私はるうに告げる。
足早に、この変な空気からの脱出を試みた。
「リン。」
「なにー?」
「悪かった。」
…なにが???
るうはかなり神妙な顔で、落ち込んでるようにも見えますが。何に謝ってるのかさっぱりわからない。
「俺がもっと早く気付かなきゃいけなかった。」
「あー体調のことなら本当に心配いらないから。気にしなくていいんだよー。るうもハルに振り回されて忙しいんだし。」
「…んなこと言い訳にならねえし。心配しねえのも気にしねえのも無理だ。」
私はるうを安心させるべく、笑ってみせる。
「私は大丈夫だから。」
本当に、大丈夫だから。
そんなに気を落とさなくていいし、気遣う必要もない。
「…こっちは大丈夫じゃねえんだよ。」
ふわりと。
るうが私を抱きしめたのは。
街で私を引き止めようと、そんな話をしてくれた時以来だね。
「…るう。」
「もういい。」
「え?」
「もう、どうでもいい。」