(一)この世界ごと愛したい
ハルは相変わらず騒々しいな。
「で?」
「へ?」
「何で泣いてたんだ?」
「…熱のせいか、何か体怠いなー。」
話をはぐらかそうとした私。
そんな私を離さないるう。
私が握った手を、さらに強い力で握り返される。
「…リンは必要があれば俺を呼ぶから。それまで待ってろって、ハルに言われた。」
「……。」
「けどお前は全然呼ばねえし。それどころか会う時間も減るわ逃げられるわ。」
「…逃げてないけど。」
逃げてない…よね?
「明らかにおかしいだろ。日中ここに来たっていねえし。俺は城中探したんだぞ。」
「なんで?」
「なんでじゃねえよ。俺はお前といられる時間は出来るだけ一緒に過ごそうと思ってんのに。」
し…知らなかった。
日中ってことは、私が修行のために裏山に行ってる時だな。
「なんかごめん。」
「ハルが起きれば俺は用済みか?」
そんなことあるわけないじゃん。
「…るうは、ハルについてなきゃダメだって。私と一緒に過ごしてくれたのは、ハルがいないから尽くしてくれただけで。るうはるうの在るべき場所で過ごす方がきっといいから。」
「何だよそれ。」
「…私はここを離れるんだから、そんな私がるうの足枷になっちゃいけない。我が儘なんて、言っちゃいけない。」
そう思って。
でも、そうだね。
確かに私は、るうから逃げたんだ。