(一)この世界ごと愛したい
私は気が付けば自分の剣を再び抜き、その切先をエリクへ向ける。
「…お戯れが過ぎるのでは?」
「これはこれは。姫を怒らせるのは不本意だ。機嫌を直されよ。」
エリクが剣を鞘に戻すのを確認し、私も剣を収める。
「ああ、誠に美しい。私の姫よ。」
ぬるりと私の腰に腕を回し、身体を引き寄せる。
…あー、無理だ。斬りたい。
「私はレン様と婚約している身です。お控えください。」
「構わん。どうせこの婚約は破談にする。どんな手を使おうともな。」
「では、破談になってからでお願いします。」
私は無理矢理に拘束から抜け出す。
中々に厄介な展開。
厄介な敵が現れた感じがするんですけど。
「姫、また明日会おう。」
「会いません。」
「ふっ…。照れた姫もまた愛らしいな。」
…もう早くどっか行ってくれ。