(一)この世界ごと愛したい
「セザールの使者が王都へ入りました。」
「わかった。ありがとう。」
本来なら客人や使者の相手は王がするものなんだが、アルにさせるわけにはいかない。だからと言ってママはまだそんなに元気じゃないし。
私が相手をするのは必然だった。
まずはこの使者を使って、相手の情報を掴めるだけ掴みたい。
できる限り王族らしく見えるように、使用人を呼んで身なりを整えてもらった。
「まさか姫様に仕立てを依頼されるなんて!」
と驚きつつ喜んでいる顔を見て、思わず苦笑いしてしまった。
ドレスとまではいかないが、慎ましい女性に見えるような格好を選んだ。
「…リン…?」
「るう、セザールの使者さんが着いたみたいだから私行ってくるね。こんなこと初めてだから、どれくらい時間かかるか読めないんだけど出来るだけ急ぐからもう少しだけお願いね!」
珍しく口を開けたまま、るうは固まっていた。
ほっといてその場から去るつもりの私の腕を、るうが力強く掴んだ。
「ちょ、どうし…っ。」
どうしたのって言葉を紡げなかった。
気付けばまた、るうの腕の中で。
「あー…、間違えた。」
「え?」
間違えた…とは?
「あんまり可愛くしてるから、反射で動いた。」
「っ!」
「で?そんなにめかし込んで会わねえといけねえわけ?使者ってそんなに偉いの?」
「いや、仮にも王の代理として会うわけで…。教養がない分見た目でカバーしようかなーと。」
るうは、そっと身体を離して私を解放した。
「…悪い。こっちは大丈夫だ。」