彼の溺愛の波に乗せられて
「彰人に会ったの」

「彰人!? んじゃ彰人のことなの!?」

「違うって! 最後まで聞いて!」

そう言えば愛莉はお口にチャックのジェスチャーをした。

よし。

「彰人に会って話ししたの。彰人結婚してた」

愛莉はまた息を大きく吸った。

「それを聞いたらさ、なんか胸のモヤモヤが消えてなくなったの」

コクコクと頷く愛莉。

「実はね、彰人に会う前から気になってる人がいてね。そしたら彰人がいろいろ教えてくれて、それが好きって事だよって」

愛莉は黙って聞いてくれている。

「それで気づいたの。自分の気持ちに。それで彰人も前に進んでるし、私も前に進みたいって思ったの」

うんうんと相槌をくれる。

「それでね、最近その人と会ったりしてて。その、わりと、なんというか、甘くて酸っぱいような、もどかしい距離感というか…」

ビョーンと鼻の下を伸ばす愛莉。
黙ってても顔面がうるさい。



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