彼の溺愛の波に乗せられて
「他の人にもこんな風に…」

私は何を言ってるのか。

「雅だけに決まってる。あんま説得力ないか?」

「ないね」

「ククク。気になるか? 俺の過去の女とか」

私はコクっと頷いた。

「まぁ、何人か恋人はいたよ。この歳になった男がなんも経験ないのもおかしいだろ」

まぁ、確かに。

「でもみんな俺の事なんて見てなかったよ」

「え?」

「みんな、見た目とか、プロサーファーの肩書きとか、起業家としての財力とか。そんなんばっかで、他に俺よりいい奴が見つかればあっさり離れてったよ」

「なにそれ! ひどい!」

「でも…。俺も大概だった。雅とこうして一緒に過ごして気づいた。全然違ったなって」

「そ、そうなの…?」

「ああ。こんなに愛しいと思って抱いた事もなかった。サラッとしてたよ。スポーツするみたいに」

「ちょっと、想像できない」

「なんで?」

「優しい天寿しか知らないから」
< 162 / 301 >

この作品をシェア

pagetop