彼の溺愛の波に乗せられて
「そんな事思うわけないだろ」

雅の髪を掬いながら頭を撫でる。
雅は結構頭を撫でられるのが好きだ。

俺も可愛いから撫でたくなる。

本当に猫みたいだ。

「天寿、ごめん」

え…

「寂しいって言わなくて」

あ、そっちね。
断られたのかと思った。

危ねぇ。

本当に油断できねぇ。

「もうそんな思いさせないし、もし何かあっても遠慮しないで言って」

雅は返事の代わりに可愛く微笑んだ。

そしてどちらからともなく顔を寄せてキスをすれば、冷たい唇とは裏腹に熱い舌が絡み合い余計に離れられなくなる。

寒空の下、満点の星に見守られながら二人で交わしたキスは俺にとっては誓いのキスにも感じられた。

けして寂しい思いなんてさせない。
この笑顔を守りたい。
俺がこの手で幸せにしたい。

心の中で、今も空から見ているだろう親父に宣言した。

これがいずれ俺の嫁になる女だと。

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