彼の溺愛の波に乗せられて
そして思い出す。
そうだった。
そうだったー!

こないだ凌雅にちょっと借りるなーって持って行かれたんだった…。

おわたー。
白目を向く私。

何か使えそうな物…
とその辺を見回す。

あの木とか噛ませてみるか?

タイヤの下に入れてまた車に乗ってアクセルを踏む。

だ、ダメやん!

ハンドルを切りながらも蟻地獄の様にどんどん深みにはまっていく私の車。

その時、先に帰ったはずのあの黒のSUVが砂浜に戻ってきた。

そして私の車の横に止まったかと思えば、あの人が運転席から出てきた。

「大丈夫?」

初めて聞いた彼の声は思っていたより落ち着いていて低かった。
そしてニコリともしない。

私はついいつもの癖で構えてしまってすぐに言葉を返せないでいると彼がまた口を開いた。
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