彼の溺愛の波に乗せられて
そろそろ来るか?

俺は逃すまいと雅の車の横にスタンバイする。

ビッグウェーブのイベントから戻った日のように。

きた!

下を向いてトボトボと歩いてこちらへ向かってくる雅はまだ俺に気づいていない。

「雅」

俺は我慢できずに名前を呼ぶ。

するとハッと顔をあげて俺を見た。

飛びついてくるか?
手を広げる。

雅はそんな俺を見るなりなんとクルッと向きを変えて全速力で走り出した。

そっちか!

はえー!

「雅っ!」

それでも俺には敵わず捕獲される猫。
じゃなくて雅。

「離して!」

誰が離すか。

俺から肩に担がれて脚をバタバタさせながら、背中をポカポカ叩いてくる雅をそのまま無視して俺の車に乗せてバンとドアを閉める。
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