彼の溺愛の波に乗せられて
「何しにきたの!」

運転席に乗り込んできた天寿に怒鳴り散らすも天寿は何も言わずに車を発進させた。

何も答えない天寿を睨んでいれば、クスッと笑われた。

はぁ?

「何笑ってんのよ!」

「大丈夫だから。落ち着け」

「はぁ? 人がどれだけの覚悟で…」

そこまで言って私は口を閉じた。

どれだけの覚悟で家を出たと思ってんの?

なんでそんなに余裕なの?

あの手紙だって、何度も書き直した。
あの文を書くのに何時間もかけた。

さよなら。幸せになってね。

なんて…

震える手を必死に動かして、涙で濡れないように。
濡れたらまた書き直して…

天寿への思いが溢れて大変だったのに…

荷物だって何往復もして車に積んで。
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