彼の溺愛の波に乗せられて
すると天寿は後部座席に手を伸ばすと、ものすごい量の赤いバラの花束を私に差し出した。

「俺と結婚してくれ」

私は条件反射のように受け取ってしまう。

すっかり勘違いしていた私はまだこの状況に追いついていけない。

そんな私をよそに天寿は小さな四角い箱をポケットから取り出しパカっと開けて中を見せる。

「これを受け取りにアメリカに行ってたんだ」

それは誰もが一度は憧れるあの超高級有名ブランドの指輪だった。

う、嘘でしょ…!?

思わず息を飲む。

「マイクに頼んで手配してもらってたんだ。バレンタインの今日、雅にプロポーズしたくて」

そんな…
私てっきり…

「雅。愛してる。受け取って?」

知らぬ間にずっと自分の手を握りしめていたところに天寿はそっと手を添えてそう言った。
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