彼の溺愛の波に乗せられて
「そいつとは…何かした?」

ガバっと顔をあげて彰人を見る。

「何もしてないよ。ここで一緒にサーフィンして…。あ、今朝私が溺れたと思って抱っこされた」

「抱っこ? 触られて嫌じゃなかった?」

嫌?
嫌ではなかった。
恥ずかしかっただけで…
戸惑っただけで…

私は首を横に振る。

その時、彰人に触れられた時の事を思い出した。
あの時は…申し訳ないけど…
嫌だった。

そして彰人を見ると、彰人は眉を下げて少しだけ困った顔をして微笑み頷いた。

「俺の時とは違うな?」

私はコクっと頷く。

「雅。それだよ。それが好きって感情」

「え? そうなの?」

「ああ」

「私、好きなの?」

「ああ」

その時天寿の車が砂浜に入ってきた。

「天寿…?」

ドアを開けてスーツを着た天寿がバンとドアを閉めてこっちに歩いてきた。

「雅」

そう言って私の名前を呼んだ。
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