彼の溺愛の波に乗せられて


ははは。登れなーい。手伝ってー。
ってぶりっ子するところじゃないらしい。

もっと慣れたら有無を言わさず抱き上げて乗せてやりたいけどな。

なめんなという言葉通り、ひょいっと飛び乗る雅。
シートに乗った瞬間、いい香りが鼻をかすめた。

いやここで女っぽいとこ出すの?
さりげなさ過ぎないか?

柄にもなく胸の鼓動が踊り出す。
俺って単純。

「おし。行くぞ」

「ゴー!」

ははは。

「普段からメイクしないの?」

「あー、やっぱりするべきだったよね?」

「いや?」

全然すっぴんでもかわいい。

「なんか家の事してたらあっという間にこんな時間なっちゃって! あはは!」

そういう事な。

「実家だったんだな」

「そ。両親共働きで留守がちだから、家事はほとんど私がしてる。そんくらいしないと出てけって言われそうだし。はは!」

「しっかりしてんな。兄貴たちは?」
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