彼の溺愛の波に乗せられて
二人でしゃがんで花火をする。

私の花火の火から天寿は火を移した。

「久しぶりだわ」

「俺も」

最初こそしんみりしてたけど、そのうちテンションが上がってきて花火を持ったままいつの間にか追いかけっこするというはしゃぎっぷり。

「くはは! 足はえー」

「天寿、線香花火で競争しよ!」

同時に火を付けてパチパチいいながら中心の丸が膨らんで揺れ始める。

「ヤバい! 落ちそう!」

すると天寿が私の手をチョンと動かした。

「ちょっと! 天寿! 落ちた!」

「ははは。俺の勝ち」

「ずるい! もう一回!」

そう言ってもう一度同時に火を付けて、そろそろ落ちそうなところで私も天寿が花火を持つ手をぐいっと動かして落としてやった。

「おい! 雅っ」

「仕返しじゃ! 天寿め」

そんな事を言ってればポトっと私のも落ちた。

「あー! 落ちたー! 天寿ー」

「いや、俺なんもしてねぇし」
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