彼の溺愛の波に乗せられて
その後もありったけの線香花火をしてあっという間に全部終わってしまった。

「雅、こっち」

そう言ってひょいっと持ち上げられてボンネットに乗せられた。

へ?
一瞬すぎて恥ずかしがる暇もなかった。

すると天寿も乗ってきて、フロントガラスを背もたれにして頭の後ろに手を組んで空を見上げた。

私も天寿の隣に座って真似して空を見上げた。

うわ。凄いいーじゃんこれ。

波の音と、月と星空。

「最高じゃん」

「だな」

しばらくお互い何も話さないでいると、さすがに海の風に吹かれて寒くなってきた。

「寒いか?」

「ちょっとだけ」

「帰る?」

「帰んない」

「はは。こっちおいで」

そう言ったかと思えば天寿は身体を起こして私をすっぽりと足の間に挟むと後ろから抱きしめるように座った。

天寿のあごが私の頭に乗る。

急に天寿の体温を感じてドキドキしてきてしまう。
あったかい。
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