メールチェッカー 【2】
電話の向こうの貴美香は、ため息をついた。
『だってさ……あんたが無視するからじゃん』
「はあ?言ってる意味がわかんねえ」
不躾な電話を掛けてきた上、言いがかりをつけられたことに余計腹が立つ。
換気扇の下に移動しながら、徳田はタバコをくわえた。
『……メール。なんで無視すんのよ』
「無視なんかしてねえだろ」
貴美香とはくだらない話題でメールをするようなことは殆どない。
だからこそ用件にはきちんと返信しているのに、何故そんなことを言われるのかが理解できなかった。
「……おまえさ、酔ってんの?」
『違うわよ』
「なんかさ、さっきから意味不明なんだよ」
『なんで?あんたってそんなにバカだったかな。
どうしてメールを無視し続けるのかって言ってるの!』
「俺がいつ無視したんだよ。ちゃんと返信してるだろう?」