地雷カプブルー


 6年まえに体験した恐怖がよみがえり、二度とあんな地獄は味わいたくないと目をつぶった現在の俺は、部室棟前に置かれたベンチに浅く座りなおす。

 唇を噛みしめ、声を鋭く尖らせた。


 「いつだって輝星は俺を優先した! 自分の命より俺の笑顔を大事にした! あの時だって、まさか火の中に飛び込んでいくなんて!」
 

 輝星はベンチに座りうつむいたままだ。

 地面に転がった石を足の裏で転がしながら

 「だって僕が作ってプレゼントした金メダルが燃えちゃうって……絶望した顔で霞くんが立ち尽くしていたから……喜んでほしくて……」 
 
 ふてくされたように唇を尖らせている。

 ねぇ、なんでわかってくれないの?


 「輝星がくれた金メダルは、間違いなく俺の宝物だった!」


 テニスの試合で結果が残せない俺ののために、粘土と金色の折り紙で一生懸命作ってくれたもの。

 死ぬまで大事にする自信すらあった。


 「でも、輝星の命の方が俺にとって大事だったんだよ!」

< 107 / 130 >

この作品をシェア

pagetop