地雷カプブルー


 俺は輝星を強く責めたてていい人間じゃなかった。

 反省の念にかられ、背を丸めベンチに座りこむ。

 苦しそうに瞳を陰らす俺を、見ていられないのだろう。

 輝星は小さいころから俺の負の感情に敏感で、俺を笑顔にしようと必死になるタイプだから。


 輝星は申し訳なさそうに眉を下げると

 「僕の方こそムキになってごめんね。霞くんは何も悪くないよ。燃えた家具が倒れてきたせいだから」

 と、隣に座り俺の顔を心配そうにのぞき込んできた。


 「火事の時、輝星は俺をかばってくれた。倒れてきた家具を腕で受け止め、俺に覆いかぶさってくれた。おかげで俺は無傷だった。でも輝星は腕に酷いやけどを負って……」


 俺が悔し目を突き刺したのは輝星の右腕。

 ジャージの長い袖でやけど跡は見えないが、右腕の広範囲がただれているに違いない。


 俺が輝星を傷つけてしまった。

 やけどの激痛で悶えさせてしまった。

 炎が燃え盛る部屋の中で、俺が転んでしまったから。

 だから輝星が身をていして、俺を守らなければいけなくなったんだ。
 
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