地雷カプブルー

 「俺が悪いんだ。輝星と幼稚園で出会ってから俺は輝星を洗脳した」

 「僕、洗脳なんてされてないよ」

 「輝星を独り占めしたくて、俺以外と遊んでほしくなくて、輝星に甘い言葉をたくさん吹きかけて、俺だけを選んでくれたら頭を撫でて、大好きってたくさん伝えて。俺の執着のせいで、輝星の感覚がマヒしてしまったんだ」

 「僕の感覚が……まひって……」

 「輝星は自分よりも、俺を大事にするようになった」

 「当たり前だよ、だって自分の命より霞くんの方が大事だもん」

 「そういうところが怖いんだ」

 「何がいけないの? 自分より大事なものがあることは幸せなことだって、本に書いてあったよ」

 「輝星は火の中に飛び込んで……倒れてきた家具から俺を守ってくてれ……」

 「さっきも言ったけど僕は誇らしかった。霞くんのことも霞くんの宝物も守れたこと。あっでも、メダルは焼け焦げて形と色が変わちゃってて、本当は原型そのままで霞くんに渡してあげたかったのに」

 「二人で火事のアパートから脱出したあと、輝星は倒れたでしょ?」


 ふらついたと思ったら急に倒れて。

 コンクリートに体を打ちつける前に俺が抱きとめたけれど、意識がなくて。

 名前を叫んでも体を揺すっても、輝星は目を開けてくれなくて。

 
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