地雷カプブルー
「ものすごく怖かった。生きた心地がしなかった。もう二度と輝星は目を覚まさないんじゃないか。輝星が死んじゃったらどうしようって」
「……霞くん」
「倒れている輝星が天国に行ってしまう気がして、最悪な結末ばっかり脳裏によぎって、俺は怖くて怖くて、早く目覚めてよって願っても願っても輝星は目を閉じたままで」
「……」
「駆けつけた救急隊員がこの子は大丈夫だよって言ってくれたけど、輝星を乗せた救急車がそのまま輝星を天国に連れて行っちゃう気がした。もう輝星とは話せなくて、テニスもできなくて、笑顔も見れないんじゃないかって、俺は涙を流すことしかできなくて……自分が無力で悔しくて……輝星を助けたいのにって……」
「でも僕は大丈夫だったでしょ。病院で処置してもらって、その日中に目覚めた。侮らないで、僕の生命力」
重い空気を一掃しようと輝星は笑い声を弾ませてくれたけれど、俺の気分は沈んだままだ。
表情筋までダダ下がりのまま。
「俺と一緒にいたら、輝星がまた命を投げ出すかもしれない。俺を守ろうととっさに動いて、その一瞬で命の火が消えるかもしれない。それが怖かった。だから中学に上がる前、俺は輝星から離れることにした。輝星の人生を断ち切るのが俺自身なんて、絶対に嫌だったから」
本心を伝え終えた俺なのに、まだ心のモヤモヤがはれてはくれない。
沈黙を選んだのは俺だけじゃない。
輝星も苦しそうな顔でうつむいている。