名前
私が汚れないように、傷つかないように。
この男は気付かないところで、私を守り続けてきてくれた。
たぶん出会ったときからずっと、私はこの男に愛されてきたんだろう。不器用でわかりづらすぎる方法で。
あぁ、もう。むかつくくらいこの男が好きで好きで仕方ない。
「ね、志摩。結婚しよう」
「は?」
私の唐突な言葉に志摩は目を丸くした。
「なに言いよん。頭いかれたか」
「人が求婚してるのに失礼すぎるんだけど」
「だって、わしは――」
「余命の話は聞いた。後藤さんから」
そう言うと、志摩は眉を寄せこちらを睨む。
「死ぬって知っとって結婚なんて言いよん? お前アホじゃろ」
「アホはそっちでしょう? 自分の人生がクソみたいだって言うなら、私がとことん幸せにしてあげる。生まれたことに意味がないなんて言うなら、私があんたの人生に意味をあげる。残りの人生最高に楽しく生きて、半年後生まれてきてよかったって神様に感謝しながら死ね、バカ!」
私が言い切ると、志摩が虚をつかれたように黙りこんだ。そして、しばらくしてから声をあげて笑った。