名前


「なんちゅう物騒な口説き文句じゃ」
「惚れなおしたでしょう?」
「あぁ。まいった。降参じゃ」

 そう言って志摩は私の体を抱きしめる。その腕にもう躊躇いや迷いはなかった。

「お嬢。わしと結婚するか」

 問いかけに「うん」とうなずく。

 志摩が私の髪を一筋すくい上げる。熱を孕んだ視線。大人の男の顔。
 ずっとこうなることを望んでいたのに、緊張して心臓が破裂しそうだ。

「ね、志摩。名前で呼んで」
「今更桜子なんて、こっぱずかしくて呼べん」
「なにそれ……、んんっ」

 文句を言おうとしたけれど、口を塞がれ言葉にできなかった。
 反射的に志摩の胸を押し返すと、片手で簡単に押さえつけられてしまった。

 私を床に組み敷き服を脱がす。志摩が遊び慣れてるのはわかっていたけど、手慣れすぎててむかつく。


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