名前
 
「待って、志摩も脱いで」

 キスの合間に言うと、志摩は「仕方ないな」と苦笑して乱暴にシャツを脱ぎ捨てた。

 その瞬間、視界が桜色に染まった。
 しなやかな筋肉がついたたくましい肩。そこには満開の桜が咲いていた。

 他人に興味も執着も持たないこの男の背中に、私の名前の花が刻まれていた。驚きで言葉につまる。

 なんなのこれ。いつも憎まれ口を叩いて、名前すら呼んでくれなかったくせに。
 本当に、この男の愛情表現はわかりづらすぎる。

「あんた、こんな刺青入れてほかの女の子を抱いてたわけ?」
「一途じゃろ」
「悪趣味すぎる」

 私が顔をしかめると、志摩は楽しそうに笑った。

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